光回線

【技術解説】光回線の速度を決める4つの要素

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ここでは光回線の速度に影響する仕組みについて解説しています。

早速ですが、速度に関するポイントとしては以下の4点です。

ポイント

  • PON技術の採用と進化
  • 回線網とISP網のエッジルータ
  • 利用者の数(シェア率)
  • 混雑箇所の回避技術

*「ネットの仕組み」カテゴリの記事では技術的な話に興味のある方向けにやや専門的な解説をしています。具体的な仕組みより回線ごとの料金などが気になる方は別のカテゴリ記事をお勧めします。

PON技術の採用と進化

現在の光回線はすべてPON技術を使っており、光回線の料金や速度を決める重要な役割があります。

PON(passive optical network)とは光ファイバを通る信号を、スプリッタと呼ばれる装置で分岐させる技術の事です。

1本の光ファイバを何本も分けることができるので、非常に安く光回線が各世帯に提供できるようになりました。

PONの種類によって回線帯域が決まっており、回線帯域がすなわち速度と言い換えられます。

参考

PONが出る前、NTT局舎(GC)と利用者宅を完全に1対1でつなぐSS型と呼ばれるものもありましたが、利用料が数十万とかなり高額だったため、現在では見る影もありません。

PON技術の種類

PONの技術は初登場からどんどん進化しており、B-PONやE-PON、G-PON、GE-PONとさまざまな呼び名やタイプがあります。

現在はおもにフレッツ光のGE-PON、auひかりのG-PONや10G-EPON、NURO光のXG-PONなどがあります。

PONの上につくGはギガの事を指しており、EとはEthernetに対応しているを指しています。フレッツ光のGE-PONは1ギガのEthernetフレームが使えるPONという意味になります。

Ethernetフレームについては、直接速度に関係するものはないのでそういうデータの形と思ってもらえれば大丈夫です。

使っているPON技術によって分岐できる数もそれぞれ決まっており、GE-PONではNTT局舎内で4分岐、局外では8分岐で最大32分岐まで可能です。

PON技術の一覧
 代表的な回線回線速度
GE-PONフレッツ光、コラボ光1Gps
G-PONauひかり2.4Gbps
10G-EPONauひかり10Gbps
XG-PONNURO光10Gbps

これからもPON技術があがれば1ギガが10ギガになったように、25ギガや40ギガ、100ギガ*のような回線も出てくる可能性があります。

とにかくこのPON技術があがればあがるほど、データの通り道が大きくなって通信帯域(速度)があがるという解釈で大丈夫です。

フレッツ光やコラボ光ではGE-PONの1Gbpsを32分岐しているので、一人が使える通信帯域が少なくなり速度低下が起きやすいと言われています。

参考

*個人宅利用で10ギガ以上の速度があっても持て余すだけになるので、さすがにFTTHとしては出てこないと思います。

回線プランに書かれる速度はPONの速度

ここまでを簡単にまとめるとNTT局舎からでる光回線はPONの種類別に1Gbps~10Gbpsとなり、その回線帯域(速度)を決まった数だけ分岐して共用している、という事になります。

つまるところ、分岐して共有するので基本的に速度プランに表示されている速度はまず出ません。

あくまで大元の回線帯域が1Gbps(いくら分岐しても元は1Gbps)という意味なので、2世帯以上が同じ区間を利用していれば必然的に分け合うことになります。

回線網とISP網のエッジルータ

PON技術の発展によって、どんどん高速化しているので「分岐しても速度低下問題は今後起きないのでは?」と思われるかもしれません。

NTT局舎からご家庭までの区間はおっしゃる通りです。

しかし今度はインターネットに抜ける前の回線網とISP網の接続部分(エッジルータ)が問題になります。

この接続箇所は通勤ラッシュの改札によく似ています。例えるとフレッツ光の中はNTTの路線、ISPの中は別の路線、という具合でエッジルータは駅の改札の役割を果たしています。

通勤ラッシュの時は混みあって順番待ちしますよね。あの現象がインターネットの世界でも起きています。

NTTのフレッツ光は日本で一番シェアが高く、毎日満員電車です。そして利用者が多いのに駅の改札が少なくて降りた人が長蛇の列を作っています。

改札を早く抜けたい人は、人があまり乗っていない電車(auひかりやNURO光)か、改札の多い出口(IPoE方式)に行くと回避できます。

利用者の数(シェア率)

電車も利用者が少なければ改札をスムーズに抜けられます。これは光回線に直すと一人が使える通信帯域(速度)が増加することを意味します。

つまり利用者(シェア率)が少ない事業者では混雑しづらく速度も出やすくなります。

総務省*が公開している資料によれば、NTT東西のフレッツ光は光コラボも合わせて全国の67%の方が使用しています。

速度をなるべく落としたくない方はシェアの少ない回線事業者を使う事で速度を向上させることを考えるとよいでしょう。

どうしてもフレッツ光や光コラボの回線を使いたい場合は混雑箇所を回避する方法があります。

*総務省:電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表

混雑箇所の回避(IPoE)

混雑箇所はIPoEという技術を使うことで回避できます。

現在はPPPoEという技術を使って細い通信帯域を通っていますが、IPoEを使うとおよそ100Gbpsという巨大な道を通る事ができるので、今のような速度の低下に悩まされる事は少なくなります。

注意ポイント

本来PPPoEもIPoEも速度に関する技術ではないのですが、単にPPPoEを使った通信設備は1Gbpsか2Gbpsしか使われておらず、IPoEでは100Gbpsが使われているというだけです。

注意点としてはIPoEはIPv6に対応したコンテンツじゃなければ速くならないという点です。日本国内ではまだまだIPv6に対応したWebコンテンツは少なく対応状況はおよそ10%程度といわれています。

動画サイトはYoutubeしか見ないという方は十分速度が早くなりますが、Huluやniconicoでは今までと変わりません。また、PSNも未対応なのでPS4でゲームソフトをダウンロードしたいときも早くなりません。

WebコンテンツのIPv6対応状況
対応未対応
Google
Youtube
Facebook
Netflix
Wikipedia
官公庁HP
U-Next
Hulu
Amazon
niconico
PSN
など

いずれは全てのコンテンツがIPv6に対応するでしょうが、完全に移行されるまではまだ少し時間がかかるでしょう。IPv6未対応サイトも高速にしたい場合はIPv4とIPv6の共存技術を使うと解決できます。

IPv4とIPv6の共存技術

現在はIPv4コンテンツとIPv6コンテンツが混ざった状態ですが、IPv4はIPv4と、IPv6はIPv6としか通信できません。そのため、コンテンツの内容に合わせて対応したルータなどが必要です。

しかし、利用者からすればいくつもルータを用意するのは大変ですよね。そこで、利用者が意識しなくても機器が自動的に判断して設定を切り替えてくれる技術を利用します。

共存技術

  • 6to4
  • teredo
  • デュアルスタック
  • IPv4 over IPv6
  • IPv6 over IPv4

全てIPv4とIPv6の共存技術ですが、特に利用者の速度に影響するものはIPv4 over IPv6です。

現状国内の機器はまだまだIPv4を使っていますが、IPv4通信がIPoE設備を通る為にはIPv4 over IPv6という仕組みを使います。

IPv4 over IPv6を使うと、利用したいコンテンツがIPv4だとしても、通信をIPv6に見せているのでIPoE設備を通って混雑箇所が回避できる、という事になります。

ポイント

ちなみにA over BとはBを使ってAを運ぶという意味です。IPv4 over IPv6ならIPv6の環境でIPv4を使うという意味になります。

光回線の速度の仕組みまとめ

光回線の速度を形作る要素についてポイントをまとめると以下の通りです。

  • 使用されているPON技術の回線帯域。
  • 回線事業者の利用者数(シェア率)。
  • 回線事業者網とISP網間の混雑状況。

光回線業界はauひかりやNURO光が10GのPON技術を採用し始めたので、今後も高速な技術が生み出されていくでしょう。

こうなると問題は現在速度低下が著しいフレッツ光とフレッツ光を使った光コラボです。

速度をauひかりやNURO光なみに早くするには、エッジルータ間で混雑している回線帯域を増強するか、すべての通信をIPoEとIPv4 over IPv6に対応するしかありません。

総務省からは2020年の東京オリンピックまでに、インターネット回線について対策を進める方針が出ているので、ますますIPoEとIPv4 over IPv6の普及が期待されます。

早く速度を気にせず料金やオプションで回線を選べる時代が来てほしいですね。

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